ジカ熱
【じかねつ】
熱帯の蚊が媒介する感染症。予防薬はないが、頭痛や発熱、発疹、関節痛がある程度で重症化することはない。しかし妊婦が感染した場合、脳の発達に遅れが出る「小頭症」の新生児が生まれる可能性があるとされる。2015年夏以降、中南米を中心に感染者が増え、世界保健機関(WHO)が2016年2月1日に緊急緊急事態宣言を出すなど感染拡大が懸念されている。
原因ウイルスは、1947年にアフリカ中部ウガンダの「ジカの森」に住むサルから初確認され、地名にちなんで「ジカウイルス」と命名された。主にアフリカ、東南・南アジア、オセアニアなどで感染者が確認され、中南米での感染例はあまりなかった。しかし、2015年5月ごろにブラジルで患者が確認されて以来、中南米の20カ国以上に感染が広がった。
WHOは2016年1月に感染者が最大400万人に達する恐れがあるの見方を示し、その後、緊急緊急事態を宣言した。理由として、妊婦が感染することで小頭症の新生児が生まれることが「強く疑われる」点を挙げた。ブラジルでは2015年の感染者急増と歩調を合わせるように、4000人近い小頭症の新生児が生まれている。
ウイルスは、熱帯に住む「ネッタイシマカ」などが媒介し、ジカウイルスの混ざった血を吸った蚊が他人を刺すことで感染が広がる。潜伏期間は不明だが、3~12日とみられている。ネッタイシマカは日本には生息しないこともあり国内での発生例はない。しかし国内に生息する「ヒトスジシマカ」(通称「ヤブ蚊」)も媒介するため、感染の可能性は否定できない。
2016年夏にブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開かれるため、感染拡大が一段と進む懸念が広がり、国際オリンピック委員会(IOC)も警戒を強め、厚生労働省も妊婦にジカ熱流行地域への渡航を控えるよう呼び掛けている。
人から人への感染はないとされてきたが、米国テキサス州ダラス郡の衛生当局が2016年2月2日に「ジカ熱の流行地域から帰国した人物と性交渉した人物のジカ熱感染が確認された」と発表した。人から人への感染の可能性があることになり、世界に衝撃が広がっている。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425629 |