寒暖差アレルギー
【かんだんさあれるぎー】
ダニやハウスダスト、花粉などアレルギーを起こす抗原がないにもかかわらず、鼻水や鼻づまり、せき、くしゃみなどが出る症状。症状は花粉症やアレルギー性鼻炎と似ているが、アレルギーは関与せず、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれる。目がかゆくなったり、充血するなどの目に症状が出ないことから、花粉症などと区別できる。
発症メカニズムは未解明だが、暖かい部屋から外に出て冷たい空気に急に触れた時など、急激な温度変化が引き金になって起こることが多い。鼻の奥の毛細血管は通常、涼しいと交感神経の働きで縮み、温かいと副交感神経によって広がる。それが、急激な温度変化で、正常に作用しなくなるのが原因という見方がある。成人女性に多いのも特徴で、自律神経の障害が女性に多いことに加え、寒い時期でも薄着するファッションが影響していると指摘する向きもある。
このほか、カレーなど熱くて刺激の強い物を食べた時に症状が出ることがあるほか、たばこの煙や化粧品の吸入、飲酒、精神的ストレスなどの刺激も、鼻の自律神経の異常を招くと考えられている。
アレルギー反応で起こるわけではないため、治療は症状を抑える対症療法が中心。抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬、副腎皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻薬などを使う。薬物で効果がない場合は、外科的治療をする場合もある。鼻づまりの場合は、鼻粘膜の一部を固める電気凝固術やレーザー手術、鼻粘膜の一部を切り取る鼻粘膜切除術などで対処する。この点が、アレルギーの抗原を除去したり吸入を避けることによって抑えられるアレルギー性鼻炎との大きな違いとなる。
原因が未解明のため確定的な予防法はない。しかし、自律神経の異常が影響している可能性が高いので、自律神経のバランスを整えるのが予防の第一歩とされる。規則正しい睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、上着やマフラーなど温度調整しやすい服装の準備…などが推奨されている。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425628 |