軽減税率
【けいげんぜいりつ】
消費税が課される品目のうち、一部について低い税率を適用すること。
欧州では、所得の低い人たちに配慮して食料品や医薬品、新聞、書籍などを対象にしており、日本でも消費税引き上げに合わせて導入が検討されている。
消費税は、薄く広く課税できるメリットがある一方で、同じモノやサービスを購入する際、所得の低い人ほど負担が大きくなるデメリット(逆進性)もある。そのため日用の品目については、軽減税率を適用することで裕福ではない人たちの負担を和らげることができる。
先行している欧州の軽減税率の適用の仕方は様々だ。
フランスでは、同じ食料品でもキャビアは標準税率(19.6%)だが、フォアグラやトリュフは国内の産業保護のために軽減税率(5.5%)を適用。マーガリンの税率は標準だが、バターの税率は酪農家保護のために軽減されている。
イギリスは、外食サービスが標準税率(20%)で、食料品は軽減税率(0%)。その線引きは「気温より高く温められたかどうか」で、フィッシュ&チップスは標準税率となり、スーパーで売られる惣菜は軽減税率になる。
ドイツは同じハンバーガーなのに店内で食べる分は標準税率(19%)、持ち帰り分は軽減税率(7%)となっている。
軽減税率は政治的デメリットが指摘されている。関係業界が政治家に適用を求める陳情が相次ぎ、収拾がつかなくなる恐れがあるためだ。実際、イギリスでは、フィッシュ&チップスの業者が、スーパーの惣菜が競合であるとして軽減税率適用を求めている。
消費税を5%から2段階で引き上げる予定の日本では、公明党が8%に上げる14年4月の導入を求めているのに対し、自民党は10%にアップする15年10月での導入を検討するなど温度差がある。すでに一部新聞がフランスに倣って新聞への軽減税率適用を求めており、政権与党側へのロビイングの過熱が予想される。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425450 |