ソルベンシー・マージン比率
【そるべんしーまーじんひりつ】
将来の保険金支払いに備えて積み立てているのが、責任準備金です。通常予測できる範囲のリスクについては、この責任準備金で対応できます。そして、大規模地震などの災害や株価の大暴落など通常予測できない事態が起こった場合に対応できるのは、ソルベンシー・マージン(支払余力)です。
このソルベンシー・マージンの総額には、純資産の部合計、価格変動準備金、危険準備金、有価証券評価損益などが該当します。「ソルベンシー・マージン比率」とは、ソルベンシー・マージン総額を分子に、リスクの合計額(保険リスク、予定利率リスク、資産運用リスク、経営管理リスクなど通常予測できる範囲を超える諸リスクを数値化し、算出)を半分にしたものを分母にして、×100で算出します。
この比率が200%以上であれば健全な生保会社ということになりますが、200%未満になった場合は金融庁が是正措置を命ずることになっています。
問題点としては、本来、資本ではない基金、劣後ローンや税効果相当額などがソルベンシー・マージンとして繰り入れられていたからです。基金や劣後ローンは戻さなければならないお金であり、税効果相当額は将来、利益が上がらないと実現しないお金であり、改正が望まれています。
また貸借対照表上の純資産や危険準備金だけの合計をオンバランス・ソルベンシー・マージンといいます。これには株式の評価損は一切含めておらず、健全性を見る上で大事です。
| 保険評論家:佐藤立志 (著:佐藤立志(故)) 「保険用語辞典」 JLogosID : 5165077 |