【すし手帳】魚卵など >
しらうお


月も朧に白魚の篝も霞む春の空―と歌舞伎の名せりふにあるように、シラウオは春の代名詞、そして隅田川河口周辺などを産地に、江戸前の代表的なすしダネだった。生で食べるようになったのは比較的最近のこと(写真は宍道湖産)。それにしても、芭蕉が「白魚やその白きこと一寸」と称えた、この美しさはどうだろう。黒い瞳をつぶらに張って愛らしく、身はわずかに潮の香を含んで甘い。姿といい味といい、これぞ「握りのアート」か。
躍り食いで知られるシロウオとよく間違われるけれど、シラウオはシラウオ科、シロウオはハゼ科の魚です。
![]() | 東京書籍 (著:坂本一男) 「すし手帳」 JLogosID : 8003089 |