【すし手帳】光りものなど >
さより
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長く突き出た下あごはほんのり朱を含み、細魚、または針魚とも書くように、ほっそりと長い銀白色の魚体は、錺職人が技を凝らした簪を思わせて美しい。漁獲量の多い産卵期の春を旬とするが、食味は身の締まった真冬がいいとする土地もある。産卵前の大型のものは閂と呼ばれて珍重される。
歯切れよく淡泊な身は、美しく澄んだ見た目そのままに冷潔にして鮮烈。一方で光りものの脂特有の、深く豊かなこくを感じさせる。淡泊さと奥深さ両様の味を生かすため、タネには塩とすだちを振り、醤油をつけずにさっぱりといただく。
![]() | 東京書籍 (著:坂本一男) 「すし手帳」 JLogosID : 8003006 |