インターチェンジ
【いんたーちぇんじ】
眼下には日本海、海の上のインターチェンジ
インターチェンジは、高速道路と一般道路とをつなぐ役割を担った高速道路には、必要不可欠な施設といえよう。車はインターチェンジの流入口で充分に加速し、本線の車の流れの中にスムーズに入っていけるような構造になっている。もし、一般道路と高速道路の間に、インターチェンジがなかったらどうなるのか。高速道路入口付近の一般道路は大渋滞し、高速道路本線への流入地点では、衝突事故が頻繁に発生することだろう。インターチェンジがなければ、高速道路としての機能は果たせないのである。
どこにインターチェンジを設置するかによって、車の流れが大きく変わり、その地域の発展をも左右するだけに、沿線に住む人々も無関心ではいられない。インターチェンジは道路の状況や、設置箇所の地形などによって、それぞれ異った形式のものになる。その種類としては、トランペット型、ダイヤモンド型、TまたはY型、クローバーリーフ型などさまざまなタイプがあるが、日本では、設置スペースが比較的狭くて済むトランペット型や、Y型のものが多いようである。
インターチェンジの建設には広大な敷地が必要なだけに、特に都市部での用地の確保は深刻だ。地形が複雑な山間地域においても、設置箇所の選定は容易ではなく、工事が難航することも少なくない。
そこで、スペースがないために、やむをえず海の上に建設したという珍しいインターチェンジがわが国にある。
北アルプスの北端が、日本海に落ち込む新潟県の南西端に、断崖絶壁が延々と続く「親不知・子不知」という景勝地がある。昔からここは北陸道最大の難所として知られていたところで、海崖際まで断崖が迫っている。ここを通る旅人たちは、断崖下の波打際の砂浜を、波が引いたわずかの間に、命がけで走り抜けなければならなかった。親不知・子不知という地名も、ここを通り抜けるときは、自分の身を守ることで精一杯のため、親は子を、子は親を振り返る余裕もなかったことから生まれたものだという。
現在の国道八号は、明治になってから断崖の中腹を切り崩して建設されたもので、さぞ難工事であっただろうことがうかがえる。この道路に並行して鉄道も建設された。さらにそこへ高速道路を建設しようというのである。道路は海岸縁を高架で通したものの、インターチェンジを建設するスペースがない。親不知・子不知は、北陸でも有数な観光ポイントだけに、訪れる人が多い。インターチェンジを建設しないわけにはいかなかったのだろう。苦肉の策として、海上にインターチェンジが建設されたのである。
眼下には日本海、目が眩むような海の青さだ。海上インターチェンジは世界初のケースで、北陸道の新たな名所になっている。
| 日本実業出版社 (著:浅井 建爾) 「道と路がわかる事典」 JLogosID : 5060033 |