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日本史の雑学事典第10章 文化の巻 > 江戸時代

平賀源内
【ひらがげんない】

■8 エレキテルの平賀源内やっぱり天才?…各地に残る発明品の数々
 平賀源内は、高松藩の足軽の子として讃岐国志度(香川県さぬき市)に生まれ、長じて長崎や江戸の昌平黌に留学して本草学(博物学)を学び、やがて立身を夢見て藩を辞し、江戸に移り住んだ。
 源内は生活のため、また人々を驚かせるため、次々と珍妙な品物を発明し、あるいは絵画や小説、脚本を残してゆく。
 ときには人を馬鹿にしたような『放屁論』とか、『長枕褥合戦』と題するポルノ小説も書いたが、風来山人のペンネームで書いた滑稽本の先駆とされる『根南志具佐』や『風流志道軒伝』は大ベストセラーとなっているし、西洋画法を駆使して描いた油絵『西洋婦人図』は、日本史の教科書に載るほどの出来映えで、文才や画才も超一流だったことがわかる。
 また、鉱脈調査や鉱山開発をしたり、陶器や炭焼き、羊毛による織物生産の指導をしたり、薬用動植鉱物の探索をしたりと、まさに八面六臂の活躍を続けた。江戸では何度も物産会を開いて話題を集めている。
 さらに、商品のネーミングを考案したり、キャッチコピーをつくったりと、いまで言うコピーライターの仕事まで引き受けている。一説に、「土用の丑の日にウナギを食べよう」と発案したのも源内だと言う。
 源内は本当に多くの発明品を創作している。たとえば、寒暖計、水銀鏡、水準器、方位磁石、距離計、金唐革、下剤、利尿剤そして秩父(埼玉県)の中津川で発見した石綿でつくった燃えない布・火浣布など、挙げればきりがない。
 だが、やはり一番有名なのはエレキテルだろう。しかしこれは、厳密に言えば、発明品ではなく復原品なのだ。エレキテルというのは、オランダから輸入された摩擦起電機である。外見は四角い箱で、箱から突き出た金属の2本のヒゲのあいだに発生する静電気を利用して、人の病気を治療する医療器具だとされている。
 源内は1770年に長崎を訪れたさい、和蘭通詞の西善三郎からこの器具を譲り受けた。けれども、すでに壊れていて使用できず、なおかつ修理方法もわからなかったという。それを源内が懸命に工夫を凝らし、ようやく復原にまでこぎつけたのである。何と7年の歳月を費やしたという。
 源内は、このエレキテルを見せ物にした。人々はエレキテルから火花が出るのを驚嘆の目で見た。やがて評判となり、大名までもが源内にエレキテル実験を所望するようになった。
 かくして源内の名は、一躍世に知られることとなったのである
 ところで、源内のエレキテルだが、実はその現物が残っている。
 東京都千代田区大手町の『ていぱーく(逓信総合博物館)』には、源内が製作したエレキテルが保存され、国の重要文化財の指定を受けている。
 また、香川県歴史博物館高松市)に行けば、同館の体験学習室で、エレキテル(模造品)を使って電気実験ができる。エレキテルのハンドルを回すと、2本のヒゲのあいだに放電現象が発生するのだ。
 源内のエレキテル以外の発明品も、いくつか残っている。ライター(もぐさ点火用火付け器)は『世界のたばこ工芸館』(東京都港区高輪)に、御神酒を供える掛け軸の天神の顔が赤くなる御神酒天神は『平賀源内先生遺品館(源内旧宅)』(香川県さぬき市)に保存されている。この絵は、天神画裏のヒモを引くと、赤い紙が顔に重なるという仕掛けがしてある。これを12歳のときにつくったというのだからやはり源内は天才である




日本実業出版 (著:河合敦)
「日本史の雑学事典」
JLogosID : 14625124


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:河合敦
価格:1,404
収録数:136語
サイズ:18.6x13x2.2cm(四六判)
発売日:2002年6月
ISBN:978-4534034137

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