伊能忠敬
【いのうただたか】
■6 あと残り4枚! 伊能忠敬の「大図」を探せ…焼失した地図の写本がアメリカで大量発見
伊能忠敬は、50歳で家業(酒造業)を引退したあと、19歳年下の幕府天文方・高橋至時に師事して測量術を学び、55歳から17年間かけて全国をくまなく歩いて、当時としては驚くような正確な日本地図『大日本沿海輿地全図』を作り上げた哲人である。老年を安穏と過ごさず、偉業を成し遂げたことから、彼を敬愛する年配者は少なくない。
ところで、余り知られていないが、忠敬の作った地図は3種類ある。「小図」「中図」「大図」だ。小図は日本列島を3分割、中図は8分割、そして大図は214分割したものである。
ただ、残念なことに、地図の正本は1873年の皇居火災で、副本も1923年の関東大震災で焼失してしまっている。
小図と中図は、写本によって実態が解明されているが、大図に関してはこれまで、わずかしか写本が発見されておらず、詳細は掴めていなかった。
それが近年、大図の写本が続々と発見され出したのである。
まず、1996年に気象庁の書庫で43枚が見つかり、2001年にはワシントンの米国議会図書館で207枚が発見された。これで、重複するものを除くと、残り6枚になった。
そして2002年、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で、さらに2枚の大図が見つかった。アメリカでの大量発見がきっかけで組織された合同調査団が調べた結果、アメリカで見つかった大図と同グループだとわかった。
未確認の大図は残り4枚。いったい、どこから出てくるのだろう?
| 日本実業出版 (著:河合敦) 「日本史の雑学事典」 JLogosID : 14625095 |