【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 卯月
更衣
【ころもがえ】

昔の衣服は暦がわり
「越後屋にきぬさく音や更衣」(宝井其角)。冬服から夏服へ、また夏服から冬服へと、衣服を取りかえることをいう。昔は宮中でも民間でも、旧暦四月と一〇月の朔(一日)の日が、更衣の日とされていた。しかし、通常、更衣といえば旧暦四月一日のことで、夏の季語となっている。
更衣の日には、厚い綿入れを脱ぎ、裏地のついた袷を着る。「四月一日」と書いて「わたぬき」と読ませる名字をもつ人がいるのは、旧暦四月一日に綿抜きという別称があるからだ。袷は旧暦五月四日までで、五月五日からは単、真夏は麻や絹で織った薄い帷子を着た。昔は衣服は暦と深く結びついていたのである。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040124 |