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暦の雑学事典2章 暦の歴史エピソード >

夏至
【げし】

夏至は古代ヨーロッパの祝祭日

◆ストーンヘンジは古代の天文台
 イギリス南部のソールズベリー平野に、ストーンヘンジと呼ばれる巨石記念物がある。日本の環状列石(ストーンサークル)を巨大にしたような遺跡で、西暦前三〇〇〇年頃、特殊な祭祀場として建造されたと推定されている。しかし、巨石の配置が夏至の日の出の方向などに一致することから、古代の天文台であったと主張する学者もいる。
 ヨーロッパでは古くから夏至の日の出が神聖視された。一九九九年六月二一日、このストーンヘンジのフェンスを破り、巨石の上に登るなどの行為をした二〇〇人が、警官隊とこぜりあいになるという騒動が起きて日本でも報道された。実は六月二二日は夏至にあたる。ストーンヘンジで夏至の日の出を迎えようとしたが、関係者以外は入場が禁止されたので不法侵入したようだ
 ストーンヘンジはドルイド教の聖地にもなっている。ドルイド教というのはヨーロッパにキリスト教伝わる以前から信仰されていた古代ケルト人の宗教である。今日からは想像もできないが、一二世紀頃までの北西ヨーロッパは、うっそうたる森林に覆われていた。古代ケルト人はとりわけオーク(カシと訳される正しくはナラ)を神聖視して、オークの巨木に動物のみならず人間までもが犠牲として捧げられた。デンマークやドイツの泥炭地からは、ボッグ(泥炭地)マンと呼ばれる、犠牲となった人間の遺体が多数発掘されている。胃の中の食べ物の分析から、犠牲の儀式は冬か春先に行なわれたと推定される厳しい冬を乗りきったことへの感謝と、恵み豊かな春の到来を祈願する意味があったのだろう
◆夏至は古代ヨーロッパ人の祝祭日
 春とともに新生する森を信仰するのは間接的な太陽崇拝である。古代ヨーロッパでは日照時間の最も短い冬至が一年の起点であり、日照時間の最も長い夏至は一年の頂点であった。キリスト教が伝播してからは、夏至の祝祭は聖ヨハネ祭と結びついたが、もともとヨーロッパには夏至の日には戸外で盛大な火をたいて騒ぐ風習があった。一九九九年の夏至の日におけるストーンヘンジの騒動も、このような歴史的背景がある。千年紀(ミレニアム)の終わりを前にして、森の民であった頃の記憶がよみがえり血が騒いだのかもしれない。
 ところで、ストーンヘンジよりさらに古い西暦前六〇〇〇年頃のエジプト南部の遺跡でも、夏至の観測が行なわれていたという。アメリカのコロラド大学の学者らが一九九八年に発表したもので、ナイル川の西のサハラ砂漠にあるナブタと呼ばれる巨石群の配置は、夏至の日の出方向および南北方向を指し示しているというのだ。これが事実なら世界最古の天文台ということになる。




日本実業出版社 (著:吉岡 安之)
「暦の雑学事典」
JLogosID : 5040044


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:吉岡 安之
価格:1,404
収録数:198
サイズ:18x13x1.8cm(-)
発売日:1999年12月
ISBN:978-4534030214

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