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暦の雑学事典2章 暦の歴史エピソード >

二十八宿と星マンダラ
【にじゅうはっしゅくとほしまんだら】

◆キトラ古墳に描かれた星宿図
 一九九八年、超小型カメラを使って再調査された奈良県明日香村のキトラ古墳の内壁や天井に、中国の方位神である四神(玄武・青竜・白虎、朱雀は未確認)とともに、天の赤道や黄道、天の川までを含む星宿図(天体図)が描かれていることが確認された。星宿図は一九七二年に発掘された高松塚古墳にも描かれているが、これほど精緻なものはキトラ古墳が初めてである。キトラ古墳の被葬者ははっきりしないが、七世紀末から八世紀初めの古墳とみられ、この時代に中国起源の星宿図が、朝鮮半島から渡来していたことが明らかになった。
 天の赤道帯を二八に区分して、星宿の位置を表わしたものを二十八宿という。二十八という数は月の運行と関係している。地上からの月の満ち欠けの周期は二九・五日だが、恒星に対する月の公転周期は約二八日だからだ。そこで中国では月が一日に一宿ずつ通るという意味で、二十八宿を定めたといわれる。
 二十八宿は星座ではなく基準となる星の位置で、東方青竜七宿(角・亢・氏一・房・心・尾・箕)、北方玄武七宿(斗・牛・女・虚・危・室・壁)、西方白虎七宿(奎・婁・胃・昴・畢・觜・参)、南方朱雀七宿(井・鬼・柳・星・張・翼・軫)の四グループにまとめられている。
◆仏教・道教・東西占星術シンボライズ
 二十八宿が一巡する間に七曜は四巡する。インドから伝わった『宿曜経』の宿曜とは、二十八「宿」と七「曜」の組み合わせに由来する(二十八宿インド起源のものと中国起源のものがあり、インドでは牛宿を欠いた二十七宿の体系もある)。
 仏教の世界観を表わした図をマンダラ(曼陀羅)という。平安時代には星マンダラと呼ばれるマンダラがつくられた。これは釈迦仏を中心に北斗七星、九曜、黄道十二宮二十八宿を配し、道教の影響を受けた仏教の世界観と東西占星術を総覧的にシンボライズしたものだ。また、鎌倉時代の随筆『徒然草』には、「八月十五日、九月十三日は婁宿なり。この宿、清明なる故に、月をもてあそぶに良夜とす」とあり、十五夜十三夜という日本古来の民俗行事までが、二十八宿と結びつけて解釈されていた。




日本実業出版社 (著:吉岡 安之)
「暦の雑学事典」
JLogosID : 5040042


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:吉岡 安之
価格:1,404
収録数:198
サイズ:18x13x1.8cm(-)
発売日:1999年12月
ISBN:978-4534030214

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