物語は、世の中の物のあはれのかぎりを書きあつめて、読む人を深く感ぜしめて作れる物なり
【名言名句】
物語は、世の中の
物のあはれのかぎりを書きあつめて、読む人を深く感ぜしめて作れる物なり
【解説】
「物のあわれ」は、人生の機微やはかなさなどに触れたときに感じるしみじみとした情趣である(『広辞苑』)。「物のあわれ」とは、自然・人生・芸術などに触発されて生ずるしみじみとした情趣や哀感である(『大辞林』)。物語とは、そうした「物のあわれ」を書き集めて、読む人に深く感動をおぼえてほしいと思ってつくられるものである。
太宰治は「小説というものは、本来、女子供の読むもので、いわゆる利口な大人が目の色を変えて読み、しかもその読後感を卓を叩いて論じ合うというような性質のものではない」と、きめつけているが、これは一種の逆説であろう。
【作者】紫式部
【生没年】十~十一世紀
【職業】物語作者
【出典】『源氏物語』
【参考】本居宣長は源氏物語を研究し、「物のあはれというような美しい情操を身につけるには、物語や和歌を会得するしかない」といっている。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450615 |