【名言名句の辞典】6叡智とわざ > 一芸は真理に通ず
我れは営利の為に筆をとるか。さらば何故にかくまでにおもひをこらす。得る所は文字の数四百をもて三..

【名言名句】
我れは営利の為に
筆をとるか。さらば何故にかくまでにおもひをこらす。得る所は文字の数四百をもて三十銭にあたいせんのみ。家は貧苦せまりにせまりて口に魚肉をくらわず、身に新衣をつけず、老たる母あり妹あり、一日一夜やすらかなる暇なけれど、こころのほかに文をうることのなげかはしさ。いたづらに、かみくだく、筆のさやの哀れ、うしやよの中
【解説】
一葉の貧窮した生活を率直に述べた言葉である。現実は、このとおりであった。父や兄の死で一家を継いだことから創作活動と家庭の経済生活との板ばさみにあり、さらに、半井桃水との恋愛の破綻などに悩みに悩んだ末の文章であろう。
しかし、数え年二十五歳という若さで世を去るまで、さまざまな人生を経験したことが、数々の名作を生む土台となった。
【作者】樋口一葉
【生没年】1872~96
【職業】作家
【出典】『よもぎふにっ記』
![]() | あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450610 |