ゆく川の流れは絶えずしてしかも、もとの水にあらず
【名言名句】
ゆく川の流れは絶
えずしてしかも、もとの水にあらず
【解説】
『方丈記』の冒頭にある有名な一節。川の水の流れは絶えることなく続いているように見えるが、よく見ればそれは決して同じ水ではなく、移り変わっているという。一見恒常的で不変に見える川の姿に世の中の「無常」「転変」を見るのである。
長明は人や人の栖もまた移り変わりの無常であることも川の流れと同じだといい、「朝に死に、夕に生るる習ひ、ただ、水の泡にぞ似たりける」と続ける。
そして、生まれたり死んだりする人がどこから来てどこへ去っていくのか、自分にはわからないと嘆く。
八百年たったいまでも、人は長明と同じく無常の世界の中で長明と同じ疑問を抱きながら生きている。
【作者】鴨 長明
【生没年】1155頃~1216
【職業】随筆家
【出典】『方丈記』
【参考】『方丈記』の「方丈」とは一丈四方の部屋、つまり鴨長明が出家・遁世して住んだ庵をさす。およそ四畳半の広さである。その俗世から離れた「一間の庵」を長明は「自らこれを愛す」といい、そこでの静かな暮らしを楽しんだ。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450124 |