すべて人の料簡には及びがたいことが多いからとにかく世の中のことは神の御はからいでなくてはかなわぬ
【名言名句】
すべて人の料簡に
は及びがたいことが多いからとにかく世の中のことは神の御はからいでなくてはかなわぬものである。
【解説】
宣長によると、古来わが国の人びとは善悪二神の働きのままに生活し、しかも神によって世の中の平安が自然に保たれていた。しかし、儒学が伝えられたために、よけいな道徳とか教えを強要されて人も世の中も悪くなってしまったという。したがって道徳とか教えなどは、すべて「人の料簡(考え)」であってたいしたことではなく、人たる務めは神の意のままに生きることだという。
「神は偉大なる作者で、人間はただその演出者にすぎない」といったのは、フランスの作家バルザックである。
【作者】本居宣長
【生没年】1730~1801
【職業】国学者
【出典】『玉くしげ』
【参考】本居宣長は、賀茂真淵の書を読んで国学の研究の道にはいったと伝えられる。『古事記』、『日本書紀』『源氏物語』などの研究で名高いが、京都で医学を学び、本業は医者であった。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450566 |