この世にまず神々をつくったのは恐怖である
【名言名句】
この世にまず神々
をつくったのは恐怖である
【解説】
ペトロニウスは紀元一世紀ごろに生きたローマ人だから、ここでいう神とはもちろん、キリスト教の神ではない。はるか昔、人間にとって世界は恐怖に満ちていた。自然の猛威の恐怖、獣の恐怖、飢えの恐怖など…。とくに自然現象は恐ろしかったにちがいない。だから、お祭りして、たたりのないようにと願った。日本では、いまも各地にそういった祭りのなごりをみることができる。それから八百万の神が生まれ、キリスト教や仏教といった一神教も生じたのだ。心に「おそれ」を抱くことから祈りが始まるのかもしれない。
【作者】ペトロニウス
【生没年】一世紀頃
【職業】古代ローマの作家
【出典】『断片』
【参考】ペトロニウスは暴君として悪名高いネロに仕えた人物。「優雅の判官」あるいは「粋の判官」とよばれたように、退廃し快楽を追い求める貴族社会の遊びをリードしたらしい。ライバルに陥れられて自殺に追い込まれるが、血管を切ったあと、友人たちのばかばかしい大騒ぎを楽しみ、宴席につき、ふだんの生活のままにふるまって自然に死んでいったようにみせようとしたという。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450565 |