甘美なイメージを甘美なものとして受け取ることの中にある青春を私は偽物であると断定する
【名言名句】
甘美なイメージを
甘美なものとして受け取ることの中にある青春を私は偽物であると断定する
【解説】
青春には甘美なイメージがつきものだが、「甘くうるわしい青春」などというものは偽物だ。歌の文句にもあるように「青春時代が夢なんてあとからほのぼの思うもの」でしかない。真の青春とは苦悩の中でもがきながら何かを手にするものなのだ。
一方、青春時代には苦悩すら美しい彩りであるというのは明治・大正・昭和を生きた作家・永井荷風。「悲哀や苦痛はつまり楽しい青春の夢を猶楽しく強く味わわせる酒のようなものだ」。
いずれにせよ、青春はただ楽しいというだけではない。傷つき悩みながら一人の人間として成長していく時期なのである。
【作者】伊藤 整
【生没年】1905~69
【職業】作家
【出典】『青春について』
【参考】伊藤整はD・H・ローレンスの問題作『チャタレイ夫人の恋人』の翻訳者でもあった。この作品がわいせつ文書として摘発された際、出版社とともに伊藤も起訴され、有名なチャタレイ裁判の当事者となったのである。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450035 |