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東洋医学のしくみ5章 鍼灸と気功の世界 >

気功
【きこう】

気功の生まれと医学気功

◆広い風土でそれぞれに発達
 中国の国土は今も昔も非常に広大で、気候風土は地域によって大きく違います。したがって、ひとくちに中国の伝統医学といっても最初から一つのまとまった形があったのではなく、各地方でそこの風土に応じて発達してきた治療の方法が、時代とともに集約されて東洋医学という体系が作られてきたのです。
 漢方薬などはその好例で、寒くて乾燥した北の地域でたくさんの薬草が見つけられるはずはありませんから、植物が豊かに育つ南の地方で生まれた治療方法ということになります。逆に鍼灸、とくに温める要素が大きい灸は、北の地方で発達した方法です。

◆気功は湿地帯から生まれ
 同じような理由から、中国中央部の湿地帯では気功の前身となる方法が生まれました。湿気は、経絡を渋滞させて関節痛や運動障害を引き起こす病邪なので、それを予防するために経絡の流れをスムーズに保つ方法として気功が発達したのです。
 気功の前身と書いたのは、実は気功という言葉が生まれたのは20世紀になってからのことで、昔は「導引(どういん)」と呼ばれていたためです。
 導引は、道家(道教のもとになる学者や仙術師の集団)が行っていた養生法で、体と気の鍛錬方法として武術にも取り入れられました。その流れが太極拳に受け継がれていることはいうまでもありません。

◆外気功と養生気功
 現在、中国で行われている気功は分類できます。
 まず、気功が硬軟に分かれていますが、硬気功の方は武術として継承されてきた技術で、指先で岩に穴を開けたり、頭で太い釘を打ちつけたりといった超人的パフォーマンス見せる武術家が今でもいます。
 鍼灸や漢方薬と同じ東洋医学の範疇に入るのは軟気功の方で、武術の気功に対して「医学気功」とも呼ばれます。
 医学気功はさらに「外気功」と「養生気功」に大別でき、気功師が患者に気を送ったり、気を取り除いたりするのが外気功、患者自身が気を鍛錬して病気の予防に役立てるのが養生気功ということになります。
 気功師というと、何やら少し怪しげなイメージを持つかもしれません。たしかに中国でも気功ブームのときに武術気功師が治療のまねごとをして、事故を起こすことが多々ありました。
 しかし、現在の中国では気功医師という国家認定資格があり、中医学を修めていなければ気功治療ができないことになっています。また、中医学の病院でも、中医内科や鍼灸科と同様に、気功科を開設するところが増えています。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030099


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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