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東洋医学のしくみ3章 「証」による診断と治療 >

基本的体質
【きほんてきたいしつ】

自分の体質を知って病気を予防する

◆体質が影響する病気がこじれると
 東洋医学の診断では、患者の外見や様子などからその人の基本的な体質の見当をつけ、病証の判断材料の一つにすることがよくあります。
 人の体質は先天的な要素のほかに、日常の生活環境や食習慣、老化などで変化しますが、病気がこじれて慢性化することによっても大きな影響を受けます。その結果として、逆に体質の延長上にある病気にかかりやすくなることもあります。
 たとえば、ある臓器の気が不足して起こった病気をこじらせてしまうと、その病気が治ったあとも、気の不足によって起こるタイプの病気にかかりやすい体質になってしまうというようなことです。
 このように、体質の変調が過度になると病気が起こるのですが、体質とはまったく関係のない病気にかかることもよくあります。ですから、すべての病気を体質と結びつけて判断するのは、誤診の元にもなりかねません。

◆7種の基本的体質
 体質のタイプは、人体を構成している「気・血・津液」の状態によって、大きく2つに分けられます。一つはこれらが不足している「虚弱体質」タイプで、もう一つはこれらの代謝に異常をきたしている「代謝障害体質」タイプです。
①虚弱体質タイプ
 虚証は正気の元になる「気・血・津液」のどれかが不足している状態、いわゆる虚弱体質で、体質的にどれかが不足していると病気にかかりやすくなります。ただ、虚弱といっても外見が痩せてひ弱な感じの人だけを指すわけではありません。
 虚弱体質タイプは、気が不足気味の「気虚体質」、血の不足の「血虚体質」、津液の不足の「津虧体質」の3つに分けられます。さらに気虚体質は、体を温める機能が著しく減退して起こる「陽虚体質」に、また血虚体質と津虧体質は冷却機能の減退を伴う「陰虚体質」に移行することもあります。
 こうして気・血・津液の不足は5つの体質に分類されるのですが、津虧体質はすぐに陰虚体質に移行してしまうことが多いので、本辞書では「気虚・血虚・陽虚・陰虚」の4つの体質に分けることにします。
②代謝障害体質タイプ
 もう一方の代謝障害体質とは、気・血・津液いずれかの流れが滞って、生理的に有効な働きをしない病的産物を体内に作りだしている状態をいいます。病的産物が過剰になると実証の病気の誘因になりますので、注意が必要な体質といえます。
 代謝障害体質には、気が滞っている「気滞体質」、血が滞る「血体質」、津液が滞る「痰湿体質」の3つがあります。ほかにも、陰陽のバランスが失われ、血気盛んで興奮しやすい「陽盛体質」という体質もあります。しかし、気滞体質が熱を持った状態(熱化)とほぼ同じなので、気滞体質に含めることにします。

 以上にあげた7つの体質のタイプとその特徴、また予防に役立つ漢方薬、飲食物、ツボをまとめました。東洋医学の医師が体質のタイプを見分けて病気の判断に役立てるように、自分でも自分の体質を知れば、病気の発症や再発をある程度予防できます。ただし、あくまでも予防であって病気を治すわけではありませんから、この点をしっかり肝に銘じておいてください。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030072


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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