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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >

病気の原因②
【びょうきのげんいん】

体の内側から脅かす「内傷」

'◆七情――感情と臓器は関係する
 次に、体の内側から健康を脅かす「内傷」の4種について見ていきましょう。まずは七情から。
 人間の精神活動は「神(しん)」がコントロールしていて、その神は心や腎、肝といった複数の臓器によって作られています。したがって、精神活動が逆のルートをたどって臓器の働きに影響を与える考えるのが「七情」の考え方になります。
 七情は、「喜・怒・思・悲・憂・恐・驚」という7種類の感情の総称です。私たちの感情は常に変化しており、そのため日常的な喜怒哀楽が過剰になると病気の原因になると考えます。非常に大きなショックを受けたときのように、感情の変化が強烈だったり、それが長く続いたりすると、健康を害する原因になるというわけです。
 どのような感情が、主にどの臓腑(臓腑の気)に影響するかは、中国哲学の五行理論に基づいて、さまざまな属性が考えられています。
 たとえば「喜びで心の気が緩む」をくわしく説明すると、喜びの度が過ぎると心気が緩んで集中力がなくなり不眠や失神を誘発、ひどい場合は発狂するということになります。このように、感情の変化と臓器の気を関連づけていくのです。
「笑いが動脈硬化の予防になる」など、近年は現代医学でも感情の変化と生理を関係づける研究が行われているようですが、東洋医学的にはこれは自明のことで、患者の感情の違いによって処方する薬を変えることなども行われているのです。

◆飲食不調――食事による原因
 文字通り食事の仕方や食べ物が病気の原因になるということで、食べ過ぎや飢え(飢飽失常)、偏食、腐った物を食べる(飲食不潔)などがあげられます。
 ただし、一般的に考えてそのような食べ方をしたり腐った物を食べれば具合も悪くなるわけで、とくに東洋医学でなくとも病気の原因になると考えられるものが多くあります。

◆労逸――過労や休み過ぎも病気に
「労」は心身の過労で「労倦」といい、「逸」は逆に過度の休息、つまり運動不足を表します。
 肉体的な過労は全身の気の活動を低下させ、精神的過労は心と脾に障害を与えます。また、過度のセックスは腎機能を弱め、運動不足は気血の運行を悪くさせるとしています。

◆代謝異常――体内異常物質が病因
 繰り返し説明するように、人体の活動は「気・血・津液」の正常な循環と新陳代謝によって支えられています。しかし、外感や内傷など、これまでにあげてきた病気の原因によって臓器や循環系路が正常に機能しなくなると、体の中に異常な代謝物質が作られます。その異常代謝物質がさらに新たな病因になっていくとするのが「代謝異常」です。
 異常代謝物質には、「血が滞る=血」、「津液が滞る=痰湿」、七情が原因となって起こる「気が滞る=気滞」のほか、食べ過ぎによって食物の気が滞る「食滞」があります。
 血や痰湿は、滞る場所や形成される過程の違いによっていくつかに分類されています。'




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030057


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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