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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >

病気の原因①
【びょうきのげんいん】

体の外から襲われる「外感」

基本的な病因は5つだけ
 4つの失調は、病気が起こるメカニズムであって、病気の症状を起こさせている原因(病因)そのものではありません。病因を知るには、たとえば邪正盛衰で病邪が正気に勝っているのならば、それがどういう種類の病邪なのかを見きわめなければならないのです。
 現代医学での病因は非常に多岐に分類されますが、東洋医学では「すべての病気は自然と人間の関わりから始まる」という大前提のもと、まず体の外からの病因「外感」と、体内に源がある「内傷」の2つに大別されます。さらに外感は「六淫」に、内傷は「七情」「飲食不調」「労逸」「代謝異常」に分けられ、基本的に病因はこの5分類しかありません。
 ちなみに、病因の基本が5つだけで、しかも現代医学とまったく違う病理観で成り立っているため、胃の不調と鼻炎を同時に治すというような治療方法が可能になるのです。
 なお、体外から体に害を与える外感には、六淫とは別に「外傷」「寄生虫」「疫痢」「虫や獣による外傷」もあげられています。

◆六淫に襲われるとは
 5つの病因のうち、外感の「六淫」から見ていくことにしましょう。
 六淫は「風・暑・火(熱)・湿・燥・寒」という六気の異常によって発生する6種類の病因の総称で、それぞれ「邪」をつけて、「風邪・暑邪・火邪(熱邪)・湿邪・燥邪・寒邪」と呼びます。
 六気の異常とは、暑さや寒さが例年より厳しいとか、逆に暖冬や冷夏といった気候の変動を意味し、厳しい暑さで夏バテや熱中症になるのは「暑邪」が人体を襲ったため、寒さで関節痛が起きるのは「寒邪」が襲ったためとと考えるわけです。
 ここで「人体を襲った」という表現を使いましたが、これは体の回りに病邪が取りついた段階を表しています。英語でいう「catch cold」に似た状態と考えていいでしょう。専門的には「侵襲する」とか「障害した」ともいわれ、これが体内に入ると「侵入」となります。

◆六淫の複数攻撃
 カゼを風邪と書くのは、六淫の「風邪」がもとになっていることは前にも触れましたが、カゼの原因は「風邪」だけではありません。風邪と熱邪(火邪)に同時に襲われると高熱を出すとされていますし、インフルエンザも東洋医学的には「寒邪」「熱邪」「燥邪」が「風邪」とともに襲ってきたのが原因となるのです。
 六淫の複数が一度に襲来してくる場合は、「寒熱の病邪」とか「風熱の病邪」といった言い方をします。また、六淫のうち四季のイメージと少し重なりにくい風邪と火邪は、それぞれ「風邪は四季いつでも発生し」「火熱は五気の熱化によって発生する」と言われます。
 五気の熱化とは、火邪以外の病邪も火熱に変わることがあるという意味。つまり、カゼと熱の出る病気は一年中起こるわけです。
 六淫は人体を襲ったあと、体内に入り込みます。その侵入路としては口と鼻が思いつきますが、ほかにも体表面のほとんどすべてから侵入します。寒さや湿度で起こる腰痛や肩痛、寝冷えならば、寒邪や湿邪が口や鼻からよりも体表面から入ってくると考えた方が自然でしょう




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030056


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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