第三のエコカー
乗用車の新型発表時に「第三のエコカー」という言葉がよく使われる。そもそも、どのようなエコカーなのだろうか。
「第三のエコカー」とは、これまでのエンジン技術を高め、低燃費を実現した自動車のことである。
電気自動車でもない、ハイブリッドカーでもない、まさに「第三」の既存(きそん)方式を採用したエンジンを動力源にした自動車である。
既存方式といってもバカにできない。
ハイブリッドカーなどと同等の環境基準をクリアできるのだ。
また、高い費用やメンテナンス技術が不要なため、特に新興国(しんこうこく)ではありがたい自動車だ。
現在、第三のエコカーの特徴として有名な方式は三つ。
ダウンサイジング、クリーンディーゼル、アイドリングストップである。
ダウンサイジングとは「小型化すること」。
エンジンを小さくすることで軽量化し、快適なドライブを保証しながらエコを実現する。
このダウンサイジングを実現するのに重要な部品の一つがターボチャージャーである。
同じ出力を維持しながら、エンジンを小さくできる装置だ。
昔はスポーティーな車に備えられていたが、現代ではエコの主役として活躍している。
タービンとコンプレッサーを両端(りょうたん)に備(そな)えた軸が主要部品で、タービンを排気の力で回し、コンプレッサーの力で多量の空気と燃料をエンジンに送り込む。
こうして、一回り大きなエンジンと同等のパワーを生み出すのだ。
クリーンディーゼルとは、従来のディーゼルエンジンの持つ「黒煙を出しながら走る」「騒音が大きい」などの欠点を克服したエンジンだ。
ガソリン車よりも燃費がよく、二酸化炭素の排出量も少ない。
それを可能にしたのが、コモンレールシステムと呼ばれる燃料噴射システムである。
コモンレールとは、燃焼室の手前にある蓄圧室(レール)のこと。
これに高圧の燃料をため、燃料噴射装置(インジェクター)で正確なタイミングで燃焼室に噴射する。
アイドリングストップとは「停車時にエンジンを停止させる」技術で、特に市街地では有効だ。
市街地での運転では、約半分の時間は止まっている状態といわれているからだ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567123 |