UV・IRカットガラス
ドライブのときに不快なのが、窓から入る紫外線やジリジリ焼けつく暑さ。それをカットするガラスがある。
紫外線(UV)と赤外線(IR)をともにカットする強化ガラスが装備された、女性にうれしい車が発売され、話題を呼んだ。
日焼けやシミの原因となる紫外線は、女性ドライバーにとって最大の悩み。
赤外線は肌が焼けるような感じを与える。
おかげで、必要以上にエアコンをかけ、エネルギーをムダづかいしてしまう。
紫外線と赤外線をカットするガラスが実装された自動車は、たいへんありがたい。
自動車用のガラスで、紫外線や赤外線をカットする基本は三つある。
ガラスに紫外線や赤外線の吸収剤を練り込む「練り込みタイプ」、ガラスの車内側に吸収剤を含んだコーティング膜(まく)を付着させる「コーティングタイプ」、そして吸収剤を含んだ膜を2枚のガラスで挟み込む「合わせガラスタイプ」の3タイプだ。
自動車のガラスだから当然、透明性が確保されなければならない。
法律でも、可視光線(かしこうせん)の70パーセント以上を透とう過かさせる決まりになっている。
この条件を満たすために、ガラスメーカーは新製品開発に苦心している。
一例として、AGC旭硝子(あさひがらす)の開発した「UVベール プレミアムクールオン」という製品を取り上げてみよう。
これは、紫外線吸収剤を練り込んだ強化ガラスの車内側に、紫外線と赤外線を同時にカットするコーティング膜を付着させたガラスである。
紫外線の約99パーセントをカットし、赤外線も大幅に低減するという。
たびたび「強化ガラス」という言葉を用いたが、これはガラスを650~700度に加熱して柔らかくした後、表面を一気に均一に冷やして作られる。
こうして高強度になり、割れると瞬間的に細かい粒状に破砕(はさい)するという特徴が得られる。
普通のガラスが割れた場合、ガラスは鋭利(えいり)な刃先(はさき)となり、人体を傷つける恐れがあるが、強化ガラスではこのようなことはない。
ただし、この特性上、フロントガラスには使えない。
そこで、割れても樹脂フィルムの粘着により破片が落下せず、視界が確保される合わせガラスが用いられる。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567122 |