デジタル放送とデジタルテレビ
2011年に移行化がほぼ完了した「放送のデジタル化」。従来と何がどう変わったのだろうか。
2000年のデジタル放送開始以来、地上テレビ放送は約10年をかけてデジタル化をほぼ完了した。
放送のデジタル化に合わせるかのように受像機もブラウン管から薄型に変化し、テレビのイメージは大きく変化した。
デジタル放送は、デジタル変調とデジタル圧縮(あっしゅく)を特徴としている。
「デジタル変調」とは映像や音声の信号を数値に変換して伝える方法である。
おかげで、ノイズの影響を受けにくい美しい映像を楽しむことができる。
「デジタル圧縮」とは、似た情報をひとまとめにする方法で、デジタルコンテンツの分野ではおなじみの手法だ。
デジタル放送ではMPEG2(エムペグツー)と呼ばれる圧縮法が採用されている。
これにより、同じ1チャンネルの放送電波でもたくさんの情報を送ることができ、きめ細かい映像を楽しむことができる。
デジタル放送の受像機がデジタルテレビだ。
デジタル放送でデジタル化され、圧縮された映像・音声を復元する。
デジタルテレビの中身はパソコンとほとんど同じである。
デジタルデータに対しては、パソコン同様の数値処理が必要になるからだ。
ところで、デジタルテレビの高機能性をうたうためのキャッチコピーにフルハイビジョンという言葉がある。
ハイビジョンとどう違うのだろうか。
通常の地上デジタル放送では走査(そうさ)線の数が720本ある。
これが普通のハイビジョン放送である。
それに対して、フルハイビジョン放送は走査線の数が1080本以上。
Bluray(ブルーレイ)やBSデジタルハイビジョン放送がこれに対応している。
当然、走査線の数が多いほど、画像はよりきめ細かくなる。
最後に、地上デジタル放送の一つ、ワンセグについて調べてみよう。
1チャンネルに割り当てられた周波数帯は13セグメントに分割されているが、通常のテレビ放送はそのうち12セグメントを利用している。
残りの1セグメントを使った簡易(かんい)放送がワンセグである。
当然、画質は荒いが、携帯電話などの小さい画面に表示するには十分だ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567061 |