体脂肪計
健康ブームに乗って、体脂肪計が多くの家庭で利用されている。いったいどうやって体脂肪を計測しているのだろう。
体脂肪(たいしぼう)とかメタボリックなどという言葉が新聞や週刊誌の広告欄によく見られる。
健康ブームのなかで、こうした見出しが購買欲をそそるからだろう。
体脂肪を測る測定器として人気なのが体脂肪計である。
体脂肪計は体に含まれる脂肪の量を体脂肪率として表示する器具である。
体脂肪率とは体重全体に占める脂肪の割合をパーセントで表したものだ。
体脂肪率は、通常BIA法(生体インピーダンス測定法)と呼ばれる方法で測定される。
体内に微弱な電流を通して電気抵抗を測定し、脂肪の割合を導き出す方法である。
筋肉は水分を多く含むため電気を通しやすく、水分を含まない脂肪は電気を通さない性質がある。
したがって、同一性別・同一体型ならば、抵抗(ていこう)値が高いほど体脂肪率が高くなる。
この性質を用いて体脂肪率を測定するのである。
では、具体的にどのように体脂肪率を導き出しているのだろうか。
それには、さまざまな年齢・身長・体重の人から体脂肪率と電気抵抗値の実データを取得し、統計的に電気抵抗値と体脂肪率との関係を公式化しておくのである。
この公式を体脂肪計に記憶させておけば、測定した電気抵抗値から体脂肪率を求められる。
同じ体脂肪計を利用しているのに、測るたびに数値が違う場合がある。
体脂肪の量が1日で大きく変動するはずがないのに、こうした変化が起こるのは、生体の電気抵抗値に、就寝中に上昇し、起きて活動しているときには低下する性質があるからだ。
食事や摂せっ水すい、運動、入浴による体内水分量の変動も、電気抵抗値を変化させる要因になる。
そこで、測定に際しては、リラックスした決まった時間帯で測定することが望ましい。
そうしないと、測定値に振り回され、一喜一憂(いっきいちゆう)することになる。
周知のように、体脂肪の過か剰じょうな蓄積は生活習慣病・成人病を誘発する。
しかし、体脂肪は体温保持やホルモンバランスの調整など、大切な働きもしていることに留意したい。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567025 |