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電子体温計


病院でも家庭でも、体温計は電子式が用いられることが多い。安全で高速だからである。近年は耳式も普及している。

最近はあまり見かけなくなったが、昔ながらの体温計といえば水銀体温計である。

水銀の熱膨張(ねつぼうちょう)を利用して、体温を測定する温度計だ。

しかし、どうして水銀なのだろう。

それは、表面張力が強いからである。

水銀槽(水銀溜だまり)と毛細管は非常に細い管でつながっている。

これを留点(りゅうてん)というが、この点を通って毛細管に出た水銀は、強い表面張力のために元の水銀槽に戻れなくなる。

これがポイントである。

測定後でも表示している体温が変わらないからだ。

ちなみに、温度表示を戻すには「振る」「回す」などして、強引に力を加えなければならない。

水銀体温計の欠点は有害な水銀を使用していること、割れやすいこと、そして測定時間が10分と長いことだ。

小さな子どもや病人に10分もじっとしてもらうのはたいへんである。

そこで登場したのが、電子体温計だ。

電子体温計は、温度によって電気抵抗が大きく変化するサーミスタを温度センサーとして利用する。

抵抗を測れば温度がわかるのである。

サーミスタは、万一壊れても有害ではない。

多くの電子体温計には予測機能が備わっている。

1分程度測定すれば、その温度上昇カーブから実際の体温をマイコンが予測する機能である。

おかげで、水銀体温計のように長時間じっとしている必要はなくなった。

最近は耳式体温計も人気だ。

これも電子体温計の一種で、鼓膜(こまく)とその周辺から出ている赤外線を測定する。

数秒で検温ができるのが売りで、温度センサーには、接触しなくても瞬時に測定できるサーモパイルを利用している。

耳式体温計は、本体プローブを耳の穴に挿入(そうにゅう)して利用する。

鼓膜の近くは、外気等の影響を受けにくく、体内の安定した温度を示すという。

しかし、耳に挿入する向き・深さなどの条件により、測定値にばらつきが生じやすい。

測定する際は、センサーが鼓膜からの赤外線をまっすぐキャッチできるように耳を引っ張り、外耳道(がいじどう)を一直線にすることが重要だ。


【執筆・監修】


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
JLogosID : 8567024

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この辞典について

 中経出版「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」

【著者・監修】 涌井良幸・涌井貞美 [link]
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