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シリア内戦
【しりあないせん】

 シリアは1970年代から、国内少数派のアラウィー派出身のハーフェズ・アサド大統領が多数派のスンニ派をうまくまとめ、政治的に安定していた。
 2000年に同大統領が死去し、次男のバッシャール・アサド現大統領が政権を継いだが、独裁体制で反政府分子を弾圧していた。
 しかし11年、近隣のチュニジア、エジプト、リビアで独裁政権が国民の反政府運動や反乱で次々に崩壊。いわゆる「アラブの春」の波がシリアにも波及し、同年3月15日を「怒りの日」と命名した全国的な反体制運動が勃発した。これがシリア全土へと拡大し、反体制派の粘り強い抵抗と、徹底弾圧を図る政権側との間で衝突は激化する一方だ。
 在英の「シリア人権監視団」の集計では、11年3月以降の死者数は2万3千人を超えた。政権側が一般市民を相手にヘリや戦車も使った無差別攻撃を加えるなど凄惨な状況が報告されている。
 12年8月20日にはシリア北部の都市アレッポで取材中の日本人ジャーナリスト山本美香さん(45)が銃撃戦に巻き込まれて死亡した。


 反体制派は「シリア国民評議会」、「自由シリア軍」などの諸勢力があり、これらが必ずしもまとまっていないことも混迷を深めている。
 国際社会による事態収拾が求められるが、国連が機能不全に陥っていることも泥沼化を招いた。
 国連安保理で12年2月、アサド政権退陣を要求する決議を採択したが、シリアとの関係が深いロシアと中国が拒否権を行使して廃案に。国連の前事務総長コフィ・アナン特使が4月にまとめた停戦合意は有名無実化した。
 国連総会は8月3日、今年2月続く2度目のシリア非難決議を採択したものの、法的拘束力はない。事態収拾に向け、米欧と露中が歩み寄る気配が見られないのが実情だ(12年8月24日現在)。




JLogos編集部
Ea,Inc. (著:JLogos編集部)
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