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60歳からの人生を愉しむ心理学第6章 老いたときに後悔しない生 >

今までの経験をフル活用できるときがきた

人間は欲求を満たせば満足し、満たされないとフラストレーションを感じます。
お腹がすいたから食べる、眠いから寝るという第一段階の欲求はストレートでわかりやすいのですが、段階が進むほどその欲求は単純ではなくなるようです。
また、第一段階の欲求を満たすのに精一杯のときは、「自己実現できていない」というフラストレーションは感じませんが、いろいろな欲求が満たされるほど複雑な欲求が湧いてきて、不満も多くなってきます。さまざまな不満にあふれた今の日本は、高度な欲求を追求している社会と言えるでしょう。
欲求の段階は行きつ戻りつするものです。たとえば仕事にばかり時間を使っていると、お金は稼げますが家庭がおろそかになり、所属と愛の欲求が不安定になってきます。しかし仕事をおろそかにし過ぎると、今度は家のローンも払えないということになり、生理的欲求や安全の欲求がおびやかされます。
自己中心的な欲望だけで生きている人は、他人とよい関係を築くことが難しいため、所属と愛の欲求、承認の欲求は満たされません。けれども他人のためだけに生きている人は、自分が空洞化してしまいます。
第一、第二の欲求を満たしながら、より高次の欲求を満たしていくためにはどのような生き方をすればいいのか。他人とお互いに認め合い、よい関係を築きながら、自分の欲求を実現していくにはどうすればよいか。自分の人生を誇れるものにしたいのであれば、経験をフル活用してこの難題に取り組まねばなりません。自分は何を大切にする人間なのか、どんなことを達成すれば心からの満足を感じるのか? 自分の一生をかけて追求するテーマと言えるでしょう。
答えを出せるのは自分自身しかいません。誰かが「あなたは自己実現しましたね」と評価してくれるわけではない。他人にうらやましがられる人生でも、本人は満足できない人もいるでしょうし、人から見たら「気の毒に」と思う人生でも、その人の心の中は満ち足りて輝いているかもしれない。
それでは「気の持ちよう」でどうにでもなるかと言えば、そうでもない。自分をごまかさず、こじつけず。満ち足りるための答えは簡単には出せません。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615451


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