【東京-五つ星の蕎麦】都内の名店88軒 > 千代田区
神田 藪伊豆
【かんだ やぶいず】

店主は名人の最後の弟子

JR神田駅と地下鉄淡路町駅の中ほどにある。店主の法師人純一さんは、日本橋にある「薮伊豆総本店」(46頁)の五代目、野川康昌氏の最後の弟子。野川氏は飲食業界の発展に尽力し、勲三等を授与された人格者だ。親族以外で屋号をそのままに暖簾分けされるのはめずらしく、法師人さんの確かな腕を物語る。「そばは大衆のもの」という野川氏の信念を受け継ぎ、うまいそばを安く提供していきたいという。北海道産のそば粉を仕入れて手揉みするそばは、細めでのど越しのよい江戸前の二八。せいろ550円からと良心的だ。場所柄、サラリーマン客も多く、昼はかつ丼や天丼とのセットメニューもあり、夜は本店直伝のそばコロッケをはじめ、焼き味噌やそばチップなどそばだねを使ったつまみも豊富。そば寿司(要予約)もある。
目配りが行き届くようにと席は19席。祭り好きの主人と神田っ子の奥さんが切り盛りする店は、活気があって気の置けない雰囲気。「ちょっと一杯……」と気軽に立ち寄りたくなる。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京-五つ星の蕎麦」 JLogosID : 14071216 |