【東京五つ星の鰻と天麩羅】鰻の名店厳選40軒 > 中央区
喜代川
【きよかわ】

築80年ほどの数寄屋造り

明治7年(1874)に創業し、現当主は4代目。廊下の船底天井、屋久杉の部屋天井、南天の床柱、木柵つきの肘掛け窓など、昭和初期建築の数寄屋造り木造2階建ての建物が、古きよき日本情緒と店の格式を伝えている。
1階は予約なしで利用できるテーブル席。2階には坪庭を囲んで3畳~10畳の5つの個室(要予約)が配され、なかでも渡辺淳一氏の小説『化身』に登場する3畳間は、ヒロインの名にちなんで「霧子の間」と名づけられている。廊下に飾られた、『化身』日本経済新聞連載時の挿絵の原画が見もの。
うなぎは、良質の国産ものだけをほどよい大きさでそろえて仕入れ、敷地内に湧く井戸水に泳がせて、十分に臭みを抜いて調理する。じっくり蒸してから、たれを3~4回つけて備長炭で焼くうなぎはふっくらと、口の中でホロホロとろけていく。やや辛めのたれは、下町の客たちの好みに合わせた、創業時から連綿とつづく味だ。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070708 |