リクライニングシート
【りくらいにんぐしーと】
GHQの提案で設置された日本初のリクライニングシート
新幹線や特急列車では当たり前になったリクライニングシートだが、この背もたれが動く座席は、戦後の日本を統括したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の命令からはじまったことはご存知だろうか。はじめは一九五〇(昭和二五)年、特急つばめだったという。当時GHQの民間運輸局部長だったドナルド・アール・シャグノン中佐が、国鉄当局に対してリクライニング機能付きの座席がある二等車をつくるように命じたのがきっかけだ。しかも、外国人観光客を受け入れるため早急にせよという命令だった。だが、当時の日本人のなかには、リクライニングシートに乗ったことがあるどころか、見たことがある人すらいなかった。そこで、シャグノン中佐は母国アメリカからシートの図面を送ってもらい、それを渡して開発を急ぐように国鉄側に指示したという。ここから、国鉄ではアメリカ式のシートの研究がはじまったのである。しかも、政治的な圧力がガッチリかかっているので何よりも優先事項として取り組まされた様子がうかがえる。当時の記録に、「大宮・大井両工場で鋼体化改造中のオハ六〇形式を切り替えて、一九五〇(昭和二五)年の春に三〇両のスロ六〇形式が順次落成し、特別二等車として特急つばめに連結」と大急ぎの様子が記されている。この「リクライニング機能付きの座席がある二等車」が、現在、私たちが乗っているグリーン車の前身だ。この開発があったおかげで、いまもゆったりと座席に座れるのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820946 |