シューベルト②
【しゅーべると】
子どもの頃のニックネームは、「キノコちゃん」!
シューベルトの子どもの頃のニックネームは「キノコちゃん」だったという。正確にいうと、「マッシュルームちゃん」だったのだが、その理由はどうやら彼の風貌にあるらしい。当時、兵役の義務があったオーストリアの資料に、貴重なシューベルトの住民票が残っている。それによると、「フランツ、一七九七年生まれ、音楽教師、身長四フィート一一インチ二ライン、虚弱」とあり、しかも評価としては「相対的に見て兵役に適さず」とある。四フィート一一インチ二ラインを計算すると、一五〇センチ強である。兵役の条件は身長五フィート以上、健康というものだったため、シューベルトの体格は適合していなかった。また、彼は視力も弱かったので、兵役を免れていたともいわれる。この資料からもわかるように、シューベルトは背が低かったのだが、体格はずんぐりとしていて、頭もわりと大きく、額が広く丸くて突出している風貌だったといわれている。そこから「マッシュルームちゃん」というニックネームがついてしまったのだろう。肖像画にしても、シューベルトを描いた戯画風の絵の一つに、歌手のミハエル・フォーグルが胸をそらして威張って歩いている後から、小さいシューベルトが腕を組んで楽譜を小脇に抱えてついていく、といった様子を描いたものがある。これだけ後世に語られる才能のあったシューベルトでも、自分のニックネームまではどうすることもできなかったようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820409 |