ホップ
【東京雑学研究会編】
§ビールに使われているホップはどんなもの?
ビールは大麦を原料にホップと水で作られる。それは原材料名としてラベルや缶に印刷されているから知ってはいても、ではいったいホップとは何かと聞かれてきちんと答えられる人は少ない。
ホップというのはクワ科の植物で、ビール醸造に使われるのはその花。もともと西アジア、ヨーロッパのやや涼しい温帯域に自生していたが、今はビール醸造用に栽培されている。クワ科特有のツルを伸ばし、茎と葉にはトゲがあって、雌花をつける木と雄花をつける木があり、栽培されているのは雌株のみだ。というのも、ビール造りに使うのが受精していない雌花だけだからである。
花は夏に黄緑色のまり状の房になったものをつけ、一本の枝に一〇~二〇個、一本のツルには数千個の花がつく。この花の基の部分にできるルプリンまたはホップ粉と呼ばれる黄色い粉が、ビール醸造のとき役立つのだ。
ルプリンは、ビールにあの独特の苦みを生み、香りをつける大事な役割を担うほか、醸造中にタンパク質を沈殿させて泡立ちもよくする。
栽培農家では、開花して五〇日後くらいに花を摘み乾燥させるという手間のかかる作業が行われるが、使われる乾燥雌花の量は、ビールビン一本に対しわずか一グラムほど。たったこれだけで、ビールの味を決めているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670882 |