法人
【東京雑学研究会編】
§「法人」とはどういう人なのか?
「法人」というのは、われわれのような肉体を持った個人(法律用語で自然人という)以外のものでありながら、法律によって自然人同様に権利能力を有する団体のことをいう。法人には株式会社、社団法人、財団法人、学校法人、協同組合などさまざまな種類がある。実際にそれを運営しているのは個々の人間でありながら、その経済活動で取得された権利や負担した義務などは、個々の人間に帰属することなく、団体自身に帰属する仕組みになっているのである。
「法人」というのは民法という法律によって作られた一人の人工のヒトのようなものである。法人が個々の集まりを代表して、法律関係の処理などを簡単にしているのである。
会社の資本や土地などを例にあげると、それが代表者個人の名義になっていたとしたらどうだろう。代表者の交替・死などで相続の手続きをするときには、多くの相続人全員のためにすべての権利義務関係を移転登記しなおさなければならない。もちろん、相続争いも複雑を極めることだろう。法人格を認めることはそれをしないための一つの方法なのである。
法人の場合には代表者が死亡したり、脱退したり、退任したりしたとしても、その運営はきちんと永続していくようになっている。法人という概念が育ったからこそ現代のような社会の発展が可能となったといえなくもない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670871 |