ボイスレコーダー
【東京雑学研究会編】
§ボイスレコーダーはなぜ壊れないのか?
航空機のコックピット内の乗員のやりとりを録音するのが「ボイスレコーダー」と呼ばれる機械である。飛行機事故が起こるたびに関係者が必死になって探し、内容を分析する。事故の原因究明には欠かせない装置である。
ボイスレコーダーは一九七五(昭和五〇)年に導入されて以来、世界のどんな航空機事故でも壊れたことがないという。この事故原因究明の強い味方は、一体どんな仕組みになっているのだろう。
この中には録音装置の入った防護カプセルが入っている。銀色に輝く約一五センチ四方のカプセルは、外側が厚さ二・五ミリのチタン製である。チタンは最も強度と耐熱性のある金属だそうだ。
カプセルの内部は、合成樹脂の衝撃吸収材で覆われていて、飛行機事故の衝撃にも十分耐えられる。しかも深海六〇〇〇メートルの水圧にも耐えられるように作られている。
ボイスレコーダーは事故の際、いちばん衝撃を受けにくい機体後部のトイレの上に設置されている。
カプセルの外側には、配線や電源が取り付けられていて、事故が起きるまでの間機能するようになっている。もちろん事故後は、配線や電源が壊れても差し支えない。それまでのコックピット内のやりとりがわかればいいのだから。
航空機事故など起きないのがいちばんいいのであるが、不幸にして起きてしまったら、乗員のやりとりがわかるこのボイスレコーダーが、事故原因解明の大きな手がかりであり、頼りなのである。
大きな衝撃や深海の水圧にも耐えるというボイスレコーダー。地球上のどの地点に落ちようとも、必ず探し出してみせると言わんばかりの、製作者の執念すら感じさせる大変な代物だ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670869 |