飛行機①
【東京雑学研究会編】
§飛行機が事故を起こしやすいのはいつか?
車や電車などの地上の乗り物の事故も恐ろしいけれど、飛行機事故となると、いっそう恐ろしさが増す。なにしろ大空を飛んでいるのだから、万が一助かることを期待できるような逃げ場がない。
とはいうものの、一日二四時間、国際空港を発着する飛行機の数は増え、あの鉄の塊とともに世界の各地に飛んでいく人の数も増えた。万が一の場合を、全く考えない人はいないであろう。
たいていの人は大空を飛行中にトラブルにあうのが怖いと思っている。しかし、飛行中に落ちることはまれだし、しかも、飛行時間が増えるのに比例して、落下の危険が増すなんてこともないようだ。むしろ、上空を飛んでいるときが、いちばん安全だと言われている。つまり、飛行機は基本的に飛ぶ性能、巡航する性能を最重要視して作られているのである。
では、恐ろしいのはいつか? それは、英語では「クリティカル・イレブン・ミニッツ(危険な一一分間)」と言われ、日本語ではそれをさらに恐ろしげに訳した「魔の一一分間」と言われる時間帯である。離陸時に滑走路を走り出してからの約三分間と、着陸前約八分間の計一一分間のことである。
この時間帯の事故発生率が多いことから生まれた言葉である。離着陸時の機体の状態は、上空を巡航中の安定した状態とは、相反する状態なのである。
いくつかの統計によると、飛行機事故の約七〇%以上が魔の一一分間に発生している。とはいえ、これは全飛行時間のほんの一一分間なのだ。
安全確保のために、離着陸時の性能に対しては種々の制限が設けられており、それを満足しないときは、離陸を中止あるいは停止するか、または、着陸を中止して、再びエンジンパワーを増し、推力を加え、高度を取ってやり直す(復行)などの操作が行われている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670790 |