信号②
【東京雑学研究会編】
§緑色なのに青信号というのはなぜ?
信号の色は赤、黄色、緑の三つである。でも「青信号で渡りなさい」などというように、なぜか緑の信号を青と呼ぶ。一体これはどうしてなのだろうか?
アメリカを始め、イギリス、ドイツ、フランスといった主要国でも信号は赤と緑というのが多い。進めの信号は緑色で、やはりその国の言葉で緑と呼ばれている。
フランス語の辞書で調べてみると、vert という、緑という言葉の一つの例として、feu vert と書かれており、青信号という日本語の訳が書かれているのだ。緑の欄に青信号とはこれいかにである。では、どうして日本だけがそれを青と呼ぶのだろう。
これは、昔の日本語の習慣からきているものらしい。古代から、日本では淡い緑色のことを青と呼んできた。青リンゴ、青ウメ、青葉、青蛙、青草など、実は視覚では淡い黄緑に見えているものを青と表現してきたのである。昔の日本語では、緑と青の区別はとても曖昧だったのである。
信号が海外から日本に導入されたのは一九二七(昭和二)年のこと。
それまでの日本語の習慣から、自然とそれを青信号と呼んだ。それが、一九五三(昭和二八)年、道路交通取締法で青信号という呼び方が定められてしまったために、いまさら緑信号という呼び方はできないのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670486 |