舌打ち
【東京雑学研究会編】
§うまくいかないと、舌打ちしてしまうのはなぜか?
ホームではベルが鳴り終わっているが、急げば間に合うかも……とあわてて駆け出したものの、目の前でドアが閉まり、電車は発車してしまう。こんなとき、ついチッと舌打ちしてしまうのは、あまりお行儀のいいものではない。
こんな「ちぇっ!」という気持ちになる失敗のときの心理を分析してみると、一つは「自分ってダメだな」という自己卑下の感情、そしてもう一つは「自分のせいではない」という他人への責任転嫁、このどちらかである。
自己卑下は、感情が内へ内へと向かい、自分を責めてくよくよ悩むだけで、反省とは結びつきにくい。反省するなら、次はどうすればいいかというところへ思考が向かうから失敗もプラスに変えられる。しかし卑下するだけでは成長も進歩もない。
また、責任転嫁にしても、自分の失敗、能力のないことに目をつぶり、「ああしてくれていれば」「こうしておいてくれたら」というような、取り返しはつかないのに「たら・れば」で受け止めてふてくされと開きなおりで終わる。だから、また同じ失敗を繰り返したりする。
まあ、普通なら舌打ちするのを聞いただけでここまで分析する人はいないが、こうしたマイナスイメージをとっさに抱かせて、相手を不快にするのが舌打ちなのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670421 |