静御前
【東京雑学研究会編】
§引き裂かれた愛をしのぶ花はこれ!
ヒトリシズカは、四月の下旬頃、葉の間から穂状花序を伸ばし、ひっそりと静かに白く美しい花を咲かせる多年草の植物だ。
この花姿が、静御前に似ていることから、静の文字をいただいてヒトリシズカと名づけられたのである。
ではこの名前のもととなった静御前とはどんな人物だったのだろう。
この静御前、実は義経の愛妾だった。義経が兄・頼朝と絶縁状態となり京都を出る際も静御前は義経に同行し、京都から吉野へと向ったのだった。
次の年、静御前は、陸奥の国へ向う義経と別れてひとり京都へ帰る途中、捕らえられてしまい鎌倉へと送られてしまったのだ。
静御前はこの年の夏に、元気な男児を出産している。しかし、男児であったために、由比ガ浜へ沈められてしまい、静御前は京都へと帰されたのだった。
舞いが上手だった静御前は、鎌倉の鶴岡八幡宮の回廊で、頼朝・政子夫妻の希望により、舞いを披露した。
静や静 静のおだまきくり返し 昔を今に なすよしもがな
と、義経への恋い慕う思いを胸に秘めながらしっとりと歌い、舞ったのであった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670419 |