国連旗
【東京雑学研究会編】
§国連旗が北極中心に描かれているのはどうして?
旗というのは組織のシンボルとなるもので、学校には校旗、会社には社旗が存在する。それは何も旗のもとに心を一つにというほど大げさではないにしても、ランドマーク的役割も持つ。そして世界の国々がすべて国旗を持っているように、地球上の国々の多くが加盟している国連にも、そのシンボルである旗がある。
そのデザインは一九四七(昭和二二)年の第二回総会で採択されたもので、ブルーの地に白で染め抜かれた地球の地図がオリーブの枝の図案で囲まれている。平和の象徴であるオリーブの枝が、まるで両腕を伸ばして大事に抱えているかのように見える円形の地図は、北極から地球を見下ろしたものだ。
その陸地と海を青と白で描いた地図は、日ごろ見慣れた赤道を中心としたものでないせいか、ちょっと違和感を覚える。さらに緯度と経度を表す白い線が、同心円と放射線になっている点も……。
こんなデザインになった背景は、旗の採択された時期と無関係ではない。第二次大戦終結後、アメリカとソ連が敵対し、地球は東西冷戦時代の中にあった。赤道中心の平面図にすると、合衆国と当時のソ連の、どっちの領土が広く描かれるかという点で、ひともんちゃく起こしかねなかったのだ。
それを北極を視点の中心に置いて見下ろした形の地図にすれば、えこひいきなしの印象を与える。また、ふだん見慣れない地図だけに、大小があってもデフォルメされていることも手伝って気にしなくてすむ。ちなみに同心円のいちばん内側が北緯六〇度、いちばん外側が南緯六〇度という。
みごとな政治的配慮のなされたデザインというべきだろう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670336 |