黒板
【東京雑学研究会編】
§黒板というのにどうして緑色なのか?
仕事中や授業中、疲れてきたときに、窓の外を見て、遠くの山や樹木などを眺めていると、気持ちがなごみ、目の疲れも取れたように感じたことはないだろうか。都会の雑踏の中にいるより、緑の豊富な場所にいるだけでリラックスし、ストレスも吹っ飛んだという人もいることだろう。
人間は本来自然の中で樹木に囲まれて生活していたので、知らず知らずのうちに緑を求め、緑を見ることで心が落ち着くのだと言われている。森林浴が心身のリラックスによいことはよく知られているが、ただ眺めているだけでも人間はなごむことができるのである。
緑を眺めて目の疲れが取れる理由には、もう一つ、緑という色の持つ特性がある。
実は人間の目が感じることができる光線(可視光線)の色は七色しかない。光線を波長の長い順に並べると、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫で、これ以上波長が長くても短くても、人間の目は感じ取ることができないのだ。
赤外線を目に多量に浴びると白内障や網膜障害を引き起こすのは、赤外線の波長が長いからであり、紫外線が目の表面の角膜などを損傷するのは、波長が短いからである。
こうした理由から、人間の目にいちばん優しく、しかもなじみやすいのは、可視光線の七色の中で真ん中に位置する緑。目が疲れたときなどに無意識に遠くの山々などを眺めてしまうのは、緑が目に最も優しい色だからという理由も存在しているのだ。
学校などで使われている黒板が、その名前から考えれば黒が当然だし、白のチョークで書くのなら黒のほうが緑よりも目立つはずなのに、あえて緑色なのは、こうした目への配慮からなのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670335 |