国道②
【東京雑学研究会編】
§クルマが走れない国道「階段国道」とは?
日本全国に国道は数多くある。一号線に始まり、五〇七号線まで、途中欠番があるため、全部で四五九の路線がある。その中にクルマが通れない、歩行者専用の国道が一つだけあるという。
場所は、青森県の津軽半島にある国道三三九号線。弘前市から三厩村役場までをつなぐ国道だ。北端の竜飛崎の近く、道路は最後に車道から階段となり、海岸へと下る。そこには「階段国道」と表示され、その名の通り、なんと国道が階段になっているのだ。全国でただ一つの「階段国道」である。
階段国道の階段数は、三六一段。総延長は三八八メートル。もちろんクルマは通れない。それでもれっきとした国道だ。
そもそもこの道路は、長年にわたり生活道路として利用されてきた村道。急な坂道で、かつて階段はなかったが、近くに小学校と中学校があるため、すべってケガをしないようにという配慮から階段がつくられた。それが県道となり、一九七四(昭和四九)年には国道へと「昇級」したのである。階段だけにいっきに「段を飛び越した」という印象だ。
「階段国道」が誕生した理由は、国道を認定する際に、建設省の担当者が現地に行かずに地図を見ただけで国道に決めてしまったからである。そのため、階段が国道という奇妙な事態になったのである。
しかし、「瓢箪から駒」とはこのことで、天気がよければ、津軽海峡をのぞむ景色が楽しめる「階段国道」は現在、津軽の名所の一つに数えられている。石川さゆりが歌った「津軽海峡冬景色」の歌碑がすぐ近くにあり、村が企画した一泊二日で階段国道を歩く「津軽海峡冬景色ツアー」もあるという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670334 |