恐竜②
【東京雑学研究会編】
§恐竜が厳寒の海に耐えられたのは、身体が大きかったから?
厳寒の南極大陸から、中生代に棲息していた首長竜の化石が数多く発掘されている。首長竜といえば変温動物、というイメージが強いが、南極のような厳寒の大陸でどうやって首長竜たちは生きていけたのだろうか?
地球全体が暖かった白亜紀初期の首長竜の化石が南極大陸で発見されたのなら説明は簡単だ。けれども、首長竜の化石は南極が寒冷化してしまった白亜紀後期の地層からたくさん発見されているのだ。
もちろん現在も南極にはペンギンやアザラシなどの生物が多く住んでいるが、ペンギンやアザラシは恒温動物で、外界の気温が低くても体温を保つことができるし、分厚い脂肪で内臓を守ることもできる。
けれども首長竜は爬虫類、つまり変温動物。外界の温度が下がれば体温も下がり、体温が極端に下がれば身体が動かなくなって冬眠状態に入ってしまう。
白亜紀後期にはこれまで温暖だった地球全体に気候変化がおこり、寒い地域と暖かな地域の区別が生まれていた。さらに季節の変化もはっきりしてきた。だから、現在見られる鳥類や哺乳類のように、首長竜も渡りをしていたのだ、と考える研究者もいる。
現在の南極は夏でも厚い氷に覆われた極寒の地だが、地球全体の暖かった白亜紀初期までは、非常に温暖な気候だった。南米大陸やオーストラリア大陸とも地続きで、恐竜などさまざまな生物も移動することができたのだ。
また、首長竜は南極近辺に定住していて、カエルやヘビのように寒い季節には冬眠をしていたという説もある。
しかしそうしなくても、「慣性恒温性」という効果によって、厳寒の環境の中でも首長竜たちは体温を維持して生き続けることができただろう。つまり、身体が大きければ大きいほど、体温が外に逃げていきにくく、厳寒の南極でも体温維持ができたと考えられるのである。
巨大な首長竜たちは冷たい海の中でも一定の体温を保ち、流水や氷河によって流れ込む栄養分豊かな水の中に生活していたという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670255 |