菊人形
【東京雑学研究会編】
§菊人形は誰が始めた?
菊人形を最初に作ったのは、植木職人だった。彼は大の菊好きで、何か新しい菊の演出方法はないものかと考えていた。
そこで、菊人形が作られるようになったのだ。
菊人形は菊の葉と花を上手に細工して作ることから菊細工とも呼ばれていて、江戸時代の植木職人たちの間で大変に流行したのだ。一時は菊人形作りの番付けが発行されるほどの熱狂ぶりだったらしい。
その後、ふたたび菊人形作りの流行のきざしが見え始めたのは、一八八四(明治一七)年頃のことだ。巣鴨・駒込・団子坂辺りを中心にじりじりと菊細工は興隆し人々の興味を引くようになってきたのだ。
しかも、この頃になると、植木職人以外の人たちにも、菊細工を楽しむ人たちがでてきたようだ。
さて、そんな長い歴史を持つ菊人形だが、現在私たちがイメージするあの完璧な菊人形に仕上がったのは、一九〇八(明治四一)年の両国国技館で開催された菊人形大会からといえるだろう。
ここでは、植木職人のほかに、園芸師や人形師、道具師といったそれぞれの職人が協力しあい、丹精こめて美しい菊人形を仕上げたのだった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670233 |