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カバ
【東京雑学研究会編】

§カバがかく汗はピンク色!?
小さい頃に見た絵本などで、カバがピンクに塗られている絵を見たことはないだろうか。実際のカバはピンクとはほど遠い色なのに、なぜ絵本のカバはピンクに塗られていたのか?
その答えは、どうやらカバの汗の色にありそうだ。
人間は汗をかく。汗をかくのは人間だけと思っている人もいるだろうが、動物だって汗をかく。哺乳類にはたいてい汗腺があるから、汗をかくのは当然のことなのだ。
ただ、汗の色は動物によって違う。人間は無色透明だが、動物によっては色のついた汗をかくものもあって、その筆頭ともいうべき存在がカバだ。
その色たるや、なんとピンク。その量も尋常ではなく、カバの体がみるみるうちに赤く染まるほどである。どうやらカバがピンクで描かれることが多いのは、この汗の色が原因のようだ。
カバの汗は、ただ派手なだけではなくて、カバにとって重要な役割も果たしている。アフリカに生息しているカバは、日中は川の中にいて、朝と夕方だけ、草を食べるために岸へ上がってくる。汗はその瞬間に出る。これは水の中に棲む動物の特徴で、岸に上がったときに汗を出すことによって、肌が乾燥してボロボロにならないようにしているのである。汗に含まれているピンクの色素には、紫外線をカットする働きがあるので、皮膚は太陽の光から守られる上、汗は細菌の感染を防ぐ働きもしているのだ。カバの皮膚はとても丈夫そうに見えるが、実はいちばん外側の角質層はかなり薄く、汗で表面を覆わなければ生命にかかわるほどなのである。
皮膚から分泌された瞬間は人間と同じ無色透明だが、みるみるうちにピンクに変色するカバの汗。これは汗の中の特有の色素成分が空気に触れて酸化し、赤く変色するためである。その瞬間の色の変化は、実に見事だそうだ。ぜひ一度、その瞬間を見てみたいものである。
![]() | 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670183 |