温泉
【東京雑学研究会編】
§温泉には長く入れば入るほどよいのか?
入浴が血行を促進して、体内の疲労物質を早く取り去る効果があるのは事実で、それが薬効成分を含んだ温泉への入浴なら、もっと効果的なはずだ。
というわけで、温泉に行くとわずか一泊なのに、到着後すぐ、食前に、食後に、また睡眠前に、朝の起床直後に、食事がすんで帰る前に……などと五回も六回も入る。これでは逆に「あ~あ疲れた」ということになりかねない。
これを「湯あたりした」といって単純にすませてはいけない。湯あたりは、ただの入浴疲れやのぼせではなく、温泉の薬効成分による過剰刺激で自律神経が調子を崩した状態なのだ。
動悸、めまい、頭痛といった血管にかかわるものばかりか、食欲不振、下痢・便秘のような消化器官の不調も招きかねない。また、温泉によっては高温の湯が湧出していて、水での温度の下げ方が低いと、入浴直後に心筋梗塞や脳梗塞のような急性で重篤症状の病気を引き起こす可能性もある。
さらに泉質によっては、湯に長く浸っていることで皮膚炎になってしまうこともあるというから、どの温泉が自分の体調にあっているのかを選ぶようにしたい。
最近は、厚生労働省が認定している温泉施設での、一週間を超える温泉治療については、利用料と交通費が医療控除の対象にされることになっている。宴会気分や観光ついでの入浴というのも悪くはないが、温泉本来の利用を考えたうえでの旅行を計画するのがいいかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670150 |