インチ
【東京雑学研究会編】
§一インチという単位は植物の実の大きさだった
靴のオーダーメイドといえば高級品のイメージが強いが、規格基準のなかった昔は、すべてがこのオーダーメイドだった。
その頃の靴は、職人の腕や測り方で、多少仕上がりサイズが違ってしまうのはさけられなかった。
一三〇五年、イギリスのエドワード二世が一インチの長さを規定。やがて靴職人も、この度量法をもとにサイズを測り、規格靴を作りだしたのだ。
さて、世界共通の長さの単位といえばメートル法だが、まだヤード・ポンド法を使用している国も多い。
ヤード・ポンド法の長さの単位には、ヤード、フィート(フート)、インチなどがあり、最小単位がインチ。一ヤード=三フィート、一フィート=一二インチである。
そして、一インチをメートル法に換算すると約二・五四センチとなる。ずいぶんと、半端な数字のように思われるが……。
このインチのもとになっているのは、イギリスに古くからある単位で「バーリーコーン」と呼ばれるもの。「大麦の粒」という意味で、一バーリーコーンは約八・四七ミリ。実はこれ、大麦の粒の縦の長さなのである。
ここで、靴のサイズに話をもどすことにしよう。エドワード二世は、なんと大麦の粒を縦に三つ並べて、一インチと定めたという。いうなれば、一インチという長さは、大麦三個分。一インチ=三バーリーコーンであるから、約八・四七の三倍、つまり約二・五四センチが、一インチの値となったわけである。
靴のサイズも、大麦の長さが基準になっていたといえる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670070 |