色の心理的効果
【東京雑学研究会編】
§色によっては人を自殺させることがある!?
色が人間に与える心理的効果は大きい。暗い色ばかりがそろった部屋に入った途端に、妙に気持ちが明るくなったなんて人は少ないはずだし、爽やかな緑あふれる土地に行った途端に気分が落ち込んだなんて人もあまりいないだろう。
自殺をするかどうか悩んでいる人にとっても、色が与える効果は大きいようだ。
ロンドンのテムズ川にかかっている橋の一つにブラックフライア・ブリッジがある。この橋の色は、その名のとおり黒。
この橋は、実はロンドンでは有名な自殺の名所。あまりに自殺者が多いことから、色を変更してはどうかということになり、緑色に塗り替えた途端、なんと自殺者は三分の一にまで減少したというのである。
黒はどこか人をゆううつにさせる。これは、黒が闇や悪事や恐怖といったものを連想させる色彩だからなのだ。ユング系の心理学者ルッツは「黒は生の否定を象徴する」とまで言ったほどだし、分裂病の患者にいたっては、黒という色だけで死を連想したり、妄想して恐怖を抱いたりする人が多いのである。こうした状況を考えると、自殺をしたいと少しでも思っている人が黒い橋の上に立つと、ますます自殺志願が高まり、つい飛び込んでしまっても無理はない。
同じく自殺の名所として有名なサンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジの色は赤。赤は明るい色なので自殺とは無縁のように思えるが、実は赤は人の気持ちをあおる効果があるのだ。自殺志願の人がこの橋に立ったとすると、思いとどまるどころか、飛び込みたいという衝動に拍車がかかってしまうというわけである。
立地条件や構造の問題もあるので、全部を色のせいにすることはできないが、色が多少なりとも自殺志願者に影響を及ぼしていることは確かのようだ。少しでもこの世を悲観するような心理状態のときは、黒や赤の橋には近づかないようにしよう。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670064 |