油
【東京雑学研究会編】
§「太りにくい油」は普通の油とどう違うのか?
天ぷら、フライ、から揚げ、トンカツ……。ダイエット最大の敵といえば油だ。
炭水化物(糖類)、タンパク質、脂質のいわゆる三大栄養素のうち、最もおいしいと感じるのが脂質といわれ、ネズミを使った実験でも脂質を多く含むエサを喜んで食べたという。しかも脂質のカロリーは、一グラム九キロカロリーで、糖類やタンパク質の二倍以上なのだ。
そんな中、ダイエットはしたいが油ものも食べたい、という人たちに、「健康オイル」と呼ばれる太りにくい油が注目されている。太りにくいということは、カロリーが低いのかと思うとそんなことはない。普通の油と同じ一グラム九キロカロリーらしい。
それなら健康オイルは、なぜ食べても太らないのか。
健康オイルはほかの油と、成分の構造が違う。からだに脂肪として蓄積されにくいのだ。普通の油は胃で消化されると分子の小さな脂肪酸に変わり、脂肪酸は小腸で吸収されると血液中で中性脂肪になる。中性脂肪はからだ中に運ばれてエネルギーになるが、余るとその分が体脂肪として再合成されて蓄えられる。つまり、太るわけだ。
ところが健康オイルは、脂肪酸になって小腸で吸収されるところまでは同じだが、中性脂肪になりにくい。肝臓や筋肉など、脂肪酸をそのままエネルギーとして使う場所に送られるのだ。だから、体脂肪にはなりにくい。
分解されやすいが、中性脂肪に再合成されにくい。この都合のいい油脂成分は、天然の油脂の中に微量だけ含まれている。これを大量に集めたのが健康オイルなのだ。
とはいっても、たくさん食べればカロリーオーバーにはなる。糖類なども余れば体脂肪になるから、いくら食べても太らないというわけではない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670018 |